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『経済倫理=あなたは、なに主義?』

アンケート結果2010

 

■ 北海道旭川東高等学校における「北大セミナーin旭川」でのアンケート結果です。(2010年7月19日)

 

対象は、旭川近郊の高校生・保護者および高校教員です。(そのほとんどは高校一年生と二年生でした。)

 

近代卓越主義 41人

リベラリズム(福祉国家型) 27人

共和主義 14人

新自由主義(ネオリベ) 10人

耽美的破壊主義/支配者嫌悪主義 9人

平等主義/啓蒙主義(2) 9人

新保守主義(ネオコン) 8人

国家型コミュニタリアニズム 5人

地域コミュニタリアニズム・アナキズム 4人

市民的コミュニタリアニズム 3人

リバタリアニズム 3人

国家型ディープ・エコロジー 3人

 

以上、計136名

 

 去る七月に、旭川東高校の体育館を借りて、「あなたはなに主義?」と題する公開講座を開きました。この度は、講座に参加された皆様に、あらためて感謝申し上げます。またアンケートにご協力いただき、ありがとうございました。

これまでのアンケートでは、「リベラリズム」が多数派でしたが、今回のアンケートでは、「近代卓越主義」が多数派になりました。これまで私は、若い人たちのあいだに「近代卓越主義」の傾向が高まっていることをいろいろな機会に述べてきましたが、今回、その傾向が実証されたと思います。また同時に、高校生のあいだで、「共和主義」の意識が高まっていることが分かります。

 これは21世紀の新しい意識の誕生と言えるでしょう。これに対して20世紀を代表する思想である「マルクス主義」を選んだ人は、今回、だれもいませんでした。もうマルクスの影響はほとんどないのですね! 驚きです。

 現在の高校生が、あと20年後、30年後に、日本の社会を担うときがきます。すると社会のイデオロギー地図は、がらりと変わっているかもしれません。はたして「近代卓越主義」の立場は、どんな社会をデザインしていくでしょうか。予想される最大のイデオロギー闘争は、もはやマルクス主義とリベラリズムのあいだにあるのではなく、近代卓越主義とリベラリズムのあいだにあるでしょう。思想の問題を新たに定位していかねばなりません。

 

 アンケート用紙に、参加者の皆様から、いくつかの感想をいただきました。少し紹介します。

 

「すごく分かりやすい説明で、ABCDの文章を読むだけでは分からなかったことを、例を使いながら説明してくれたので良かったです。」

 

「難しい話も多かったんですが、楽しかったです。行きたい分野とは少し違ったのですが、自分はもう少し新聞とかを読んで自分なりの考えを明確に持ちたいなと思いました。」

 

「人それぞれ、まったく考え方が違うということに驚いた。理想や公平な社会だけを求めても、実はうまくいかないということを痛感した。」

 

「耽美的破壊主義/支配者嫌悪主義→私、美術部です。」

 

「友達2人は平等主義と近代卓越主義で、みごとに3人とも意見がバラバラでした。2人の立場は平和的、近代的で、福祉国家型からするとすごく格好良く感じられました。3人しかいないから、考え方が3通りでも、「その考え方良いね」なんて軽く言えますが、これが一つの国のなかでのこととなると、意見のズレも多くなり、社会が安定しなくなってしまうので、お互いの立場を上手に取り入れ、組み合わせていくことが大切だと思いました。」

 

 

 アンケートにご協力いただいた皆様、ありがとうございました。

 

2010年8月11日

橋本努